森下蒼彩 不登校専門アドバイザー 療育の指導員 自身も息子3人全員が元不登校 元小学校教諭/特別支援学級教諭 心理インストラクター 発達障がい支援員の伝える平均3か月で子供が動き出す手法 | ゲームはできるのに学校には行けない?不登校の悩みを専門家の視点で解説

ゲームはできるのに学校には行けない?不登校の悩みを専門家の視点で解説

不登校の子供がゲームをしている姿を見て、「なぜ学校には行けないのにゲームはできるの?」と感じたことはありませんか。不登校の悩みを抱える保護者にとって、この疑問はとても自然なことです。しかし、「ゲームができる=元気」「ゲームができる=学校にも行けるはず」という考え方は、必ずしも正しくありません。

実は、ゲームと学校では、脳にかかる負荷がまったく異なります。この違いを理解することが、不登校の子供への正しい関わり方への第一歩となります。

学校という場が子供の脳にかける負荷

学校という環境には、子供の神経系に強いストレスをかける要素が数多く存在します。まず、複雑な人間関係があります。友達との関係、先生との関係、クラス全体の空気感など、常に周囲の目を意識しなければならない緊張感があります。次に、評価というプレッシャーがあります。テストの点数、授業中の発言、提出物の出来栄えなど、絶えず評価にさらされる環境は、心理的な負担を大きくします。さらに、集団行動の難しさも見逃せません。特に発達障害児の不登校においては、集団のペースに合わせることや、暗黙のルールを読み取ることが著しく困難であるケースが少なくありません。加えて、一日のスケジュールが決まっており、先の見通しが立てにくいと感じる子供にとって、学校生活は常に予測不能な緊張の連続です。

こうした要素が複合的に重なることで、脳は「危険な場所」として学校を認識し、登校そのものを拒否するようになっていきます。

ゲームが子供の脳に果たす役割

一方、ゲームという環境はどうでしょうか。ゲームには「予測しやすい」「自分でコントロールしやすい」「一時的に不安を下げやすい」という特徴があります。ルールが明確で、努力すれば結果が出やすく、失敗してもやり直しができます。自分のペースで進められ、誰かに評価されることもありません。

不登校の子供、とりわけ不登校のゲーム依存とも見える状態は、実は脳が過剰なストレスから身を守るための「自己防衛反応」であることが多いのです。「できること」と「行けること」は、まったく別の話です。ゲームができるということは、ある条件下では機能できるということを示しているに過ぎず、学校に行ける状態にあることの証明にはなりません。

イライラする気持ちを「置き換える」一つの方法

それでも、毎日ゲームをしている子供の姿を見ると、保護者としてイライラしてしまう気持ちは当然です。不登校の悩みを抱える専門家として多くのご家庭と関わってきた中でも、この「ゲームへのイライラ」は、ほぼすべての保護者が経験されることです。

私自身も経験者です。私の次男も不登校の時期、毎日10時間以上ゲームをしていました。画面を見つめる息子の姿に、焦りと怒りを感じた日は一度や二度ではありません。しかし今、その次男は世界トップレベルの腕前を持つところまで成長しました。当時の「ゲーム漬けの日々」が、今の彼の強みにつながっています。

ゲームをしている姿を見てイラッとした時は、すぐに注意する前に、一度だけ心の中でこう置き換えてみてください。「これは脳が安心しようとしている行動かもしれない」と。この一言を心の中で唱えるだけで、声がけのトーンが変わります。トーンが変わると、子供の反応も変わっていきます。

承認のエネルギーが子供を動かす

不登校の子供が再び動き出すために、最も必要なものは「承認のエネルギー」です。責められることなく、ありのままの自分を受け入れてもらえていると感じる経験が積み重なることで、子供の心は少しずつ安定していきます。心が安定してはじめて、外の世界へ目が向くエネルギーが生まれてきます。

「なぜ行かないの」「ゲームばかりして」という言葉は、子供の脳にとってさらなるストレスとなります。今日一日、その言葉をぐっとこらえて、ただそばにいてあげてください。お母さん、お父さんが自分を信じてくれていると感じる瞬間が、子供の回復の大きな一歩になります。

不登校の悩みは、一人で抱え込まないでください。あなたは今日もよく頑張っています。承認エネルギーが高まれば、お子様は必ず動き出します。

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